ダラダラ日記のようなもの

ダラダラと日々の日常を綴っていくブログになります。

おかゆとWi-Fiと退院の日

 

 

目が覚めると、そこは自分の病院のベッドの上だった。

 

手術自体は1時間もかからなかったらしい。その日は夕食を食べることができず、明日の朝から食べられると思っていたのに、朝食も抜き。点滴はずっと繋がれたままで、やることもなく、暇を持て余した。

 


「今年の4月から病院のWi-Fiが変わったんだって。館内どこでも時間制限なく繋がるらしいよ」と、隣のベッドの患者さんが教えてくれた。

 


前回入院した時は13時から21時までしか繋がらなかったので、仕様が変わって良くなった。とはいえ、ここのWi-Fiは5G以下には対応しておらず、自分の携帯は4Gまでしか対応していない。そこで、家にあるAmazonのFire HD10のタブレットを持ってきてもらい、動画を見ながら時間を潰すことにした。

 

 

2日目の昼から、やっと食事の許可が降りた。

 


しかし、出てきたのはおかゆだけ。夕飯もおかゆ。ここの病院食は美味しいB定食が人気なのに、おかゆしか出ないなんて。明日からは普通食にならないかと期待していたが、3日目の朝食もおかゆだった。昼も夕もおかゆ。そろそろ普通食にしてほしいなと思った。

 


夕方頃、先生がやって来て、「調子どうですか?痛くない?食事は全部食べられていますか?」と訪ねてきた。

 


「はい、全然調子いいです。食事も食べられています。痛くもないです。」

 


「先生、普通食にまだしてくれないのですか?」と尋ねると、先生は少し笑って答えた。

 


「この術式のときは、退院までおかゆにしているんだ。でも、もうそんなに調子がいいなら、明日退院しますか?」

 


「えっ!もうですか!あっ、ありがとうございます。」

 

 

こんなに早く退院と言われるとは思っても見なかったので、自分でもびっくりした。

 


早速嫁さんに「明日退院だって」と連絡すると、電話の向こうから不安げな声が返ってきた。

 


「本当にいいの?また調子が悪くなって運ばなきゃならなくなったら心配だから、もっと入院させてもらったら?」

 


嫁さんがこう言うのも無理はない。以前、違う病院で膀胱結石の手術を受けた時のことを思い出しているのだ。

 


あの時、僕は1日で退院して意気揚々と家に戻ったものの、その日の夜、膀胱に溜まったおしっこが出なくなり、痛みでのたうち回って、結局夜中に病院に駆け込む羽目になった。

 

 

「あの時のことがトラウマになってるんだろうな」と思いながら、僕は言葉を選んだ。「今回は膀胱とは違うし、先生も大丈夫って言ってるから、そんなことにはならないよ」と言っても、嫁さんの心配は消えないようだった。

 


「また調子悪くなって運ばれたらどうするのよ?もっと入院させてもらったら?」と、電話越しに心配そうな声が響いた。

 


「いや、そんなことないよ。先生も大丈夫って言ってるし、今回の手術は問題ないんだって」と、僕はなんとか彼女を安心させようと説得を試みた。

 


そのとき、男の看護師さんが僕に電話を変わってくださいとジェスチャーしてきたので、プロの口調で一刀両断に言い聞かせてくれた。「先生が退院してもいいと言ってるんですから、これ以上入院してもお金がかかるだけですよ」と、まるで日常の一部のように冷静に言った。

 


彼の言葉には説得力があり、電話の向こうで彼女もようやく納得した様子だった。男の看護師さんのプロフェッショナルな対応に、僕は心の中で感謝した。

 


やっとのことで嫁さんも納得し、僕は安心して退院の準備を始めた。

 


彼女の心配も理解できるけれど、僕はもう一度家に帰り、普通の生活を取り戻すことが待ち遠しかった。

 


「今回はきっと大丈夫」と自分に言い聞かせながら、家での平穏な日々を夢見ていた。

 


退院の日の朝も、出されたのはおかゆだった。退院の日までも、おかゆなのかよーと思ったが、10時頃には娘が迎えに来てくれることになっていたので、それを励みにおかゆをすすった。

 


娘の運転する車で無事に家に帰ると、ホッとして大きなため息が出た。家の匂い、音、すべてが懐かしく感じられ、「もう入院なんて嫌だ」と心の底から思った。

 


夜になり、久しぶりの普通のご飯がテーブルに並んだ。湯気の立つご飯に、お味噌汁、焼き魚…。

 


「これだよ、これが食べたかったんだ!」と心の中で叫びながら、感動の一口を口に運んだ。

 


一口一口が幸福そのもので、体の中に活力が満ちていくのを感じた。

 


久々の普通食に感動しながら、心の中で明日からの計画を立てた。「明日からはウォーキングを再開しよう」と決意したのだ。

 


以前の自分を取り戻すための新たな一歩を踏み出す準備は整った。

 

 

 

 

 

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